2017年03月25日

【コラム】カルドナの運命は?

コレンティン・ジャンのレンタル移籍とカリージョの負傷離脱の長期化により、リザーブチームやU-19チームで得点を量産してきたイルヴァン・カルドナの姿を見る事が出来る機会が増えました。現在はフランスU-20代表の一員として、U-20四カ国トーナメントにも出場しているカルドナ。順風満帆なステップを踏んでいる様にも思えますが、逆にチャンスを得ている今だからこそ、早々に結果を出さなければ彼のキャリアに悪影響を与える可能性も孕んでいます。

まずは世代別代表での状況ですが、今から2年前のまだU-18チームだった時代にも世代別代表に選出されて3試合に出場しましたが、ここではゴールという結果を残す事が出来ませんでした。しかしながらU-20世代になって再び世代別代表に復帰すると、日本代表との親善試合のレギュラー組が出場した第1戦(3-0で日本が勝利)の3日後に、控え組を中心としたメンバーが出場して行われた第2戦(昨年9月3日)に出場し、試合終了間際に世代別代表初ゴールを決めています。
(夏を境に1つ世代が繰り上がるフランスの基準ではU-20ですが、元日を基準とする日本ではU-19となっています)

続く昨年11月14日に行われたオランダU-20代表との試合(こちらも控え組を中心としたメンバーが出場した第2戦)でも後半ロスタイムにチームを引き分けに導くゴールを挙げています。

両ゴールともに控え組を中心としたメンバーでの試合なので、今年5月から韓国で行われるU-20ワールドカップで代表入りを果たす為には、現在行われているU-20四カ国トーナメントで結果を出す事が必要不可欠です。23日に行われた第1節のセネガル戦では、3-0でリードしながらも退場者を出して1人少ないという難しい状況で62分から途中出場したものの、ゴールという結果を出す事は出来ませんでした。内容的にも1トップのポジションでボールを収める事を求められていましたが、その役割はあまり果たせていなかった様に思います。72分にはワンツーを起点にチャンスを作り、フリーでシュートを打てる場面もありましたが、コースを読まれていて、相手GKを脅かす事は出来ませんでした。短い試合間隔であと2戦行われる為、また出場するチャンスが巡ってくると思われますが、ここでアピールしなければなりません。

クラブレベルでは、U-19チームやリザーブチームで活躍出来る事はすでに分かりました。しかしながら求められるのはトップチームでの活躍です。昨シーズン、リザーブチームでの活躍が認められてトップチームでも出場機会を得たものの、結果を残せずに今シーズンはACアジャクシオへとレンタルされているイルレ・シャイビの様に、結果を残せなければ、来シーズンは他のクラブにレンタルに出される可能性が高いでしょう。

リボロフレフ会長が就任以降、モナコの下部組織出身選手でトップチームでレギュラーの座を得た選手のうち、モナコのトップチームでレギュラーを確保する前にレンタルに出されて、復帰後にレギュラーの座を掴んだ選手は誰も居ません。現在のトップチームで下部組織出身のエムバペ、トゥーレ、エンドラムはレンタルを経験していませんし、ジェルマンはレンタルを昨シーズン経験しましたが、その前のリーグドゥ時代はほとんどレギュラーでしたし、リーグアンに復帰した最初のシーズンも前半戦はファルカオとリヴィエールの後塵を拝していましたが、ファルカオの負傷離脱以降はレギュラーに復帰しているので、現在のカルドナの立ち位置とは大きく異なります。ディアロはレンタルを経験していますが、現在はレギュラーの座にはまだまだ程遠い状況です。リボロフレフ会長就任から昨シーズンまでの間には下部組織出身選手のうち、YFC(現アトレティコ)、クルザワ(現PSG)、ディンゴーム(現トロワ)、ナンパリ・メンディ(現レスター)といった選手がレギュラーの座を掴みましたが、彼らはレンタルを経験していません。

リボロフレフ会長就任以前に遡っても、デシャン監督時代まで思い返してみましたが、例外はルフィエル(現ASSE)とマンガニ(現アンジェ)くらいしか思い出せませんでした。むしろ近年ではティッセランやピ、古くはグラックスやジグリオッティの様にレンタル先で(むしろルフィエルやマンガニ以上に)活躍しながらも、モナコでは評価してもらえずにチームを去って行った選手達のイメージの方が強いです。

そうした前例を鑑みると現段階でレンタルに出されるのは、彼のモナコでのキャリアにおいてプラスに働くとは到底思えません。それを回避する為にはトップチームでの活躍、もしくはU-20ワールドカップでの活躍しか道はありません。ジェルマンやエムバペに続く為には、カリージョが復帰するまでのこの短期間が勝負と言えます。
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2017年03月24日

【コラム】モナコの理事は?

何故、この時期にこんなコラムを書いてるのか、自分でも疑問ではあるのですが、実は以前に空いてる時間を使ってちょこちょこ書いて、そのまま放置してたコラムなんです。CLもリーグアンも国内のカップ戦も佳境に迫っている時期にもっと競技的なものを書け…と怒られるかもしれませんが、他にこんな事を書く人も居ないのではないかと思い、敢えてこの時期にアップしてみます。

フロントの人事に関しては変更があった時に逐一こちらやTwitterアカウントの方で情報をお伝えしてきましたが、理事(Administrateurs)に関しては触れて来ませんでした。モナコの株はリボロフレフ氏が率いるMonaco Sport Investが3分の2を、公国政府管轄下のAssociation Sportive de Monaco Football Clubが残りの3分の1を所有しています。理事はこの保有比率を基に選出されているものと思われます。

リボロフレフ氏が会長と呼ばれるのはこの理事会の会長という立場で、ヴァシリエフ副会長も同様です。この2人の他に7人の理事が居て、理事会は合計9人で構成されています。

1人はリボロフレフ氏の愛娘のエカテリーナ嬢、リボロフレフ氏と共にスタンドのVIP席から観戦しているところがカメラに抜かれているので、観た事のある方も多いのではないでしょうか。2012年2月にニューヨークのセントラルパークの西側に面したペントハウスを8800万ドルで購入し、当時は面積あたりで最も高額な売買物件として話題となり、NYのセレブに仲間入りしました。

次に紹介する人物も女性で、ウクライナ人のテティアナ・ベルシェダ(Tetiana Bersheda)氏です。スイスに自らの事務所(ベルシェダ弁護士事務所)を構える弁護士で、国際的な商取引において豊富な経験を持ち、国際的な仲裁や紛争の解決、会社法や倒産等を専門としているそうです。英語、フランス語、ロシア語、ウクライナ語に堪能で、ドイツ語やスペイン語の専門的な知識も持っている才女だそうです。リボロフレフ氏が巻き込まれた絵画の詐欺事件では、詐欺で逮捕されたディーラーの弁護士から逆に盗聴によるプライバシーの侵害で反訴され、リボロフレフ氏と共に逮捕されている事から、彼の顧問弁護士の立場にあると思われます。

ロシア人のミハイル・サゾーノフ(Mikhail Sazonov)氏はリボロフレフ氏の個人的な財政顧問という事しか分かりませんでした。この人物も前述の絵画詐欺事件の絡みで名前が出て来ます。この3人に会長と副会長を加えた5人は明らかに『リボロフレフ派』と言える人物です。

ベルギー人のウィリー・デ・ブルイン(Willy De Bruyn)氏はブリュッセルの出身で遥か昔にアンデルレヒトでプレーしていた事もある73歳の人物で、リボロフレフ氏のモナコ買収に関わっていた様です。彼はベルギーのメディアのインタビューに『私の心は半分がモナコでもう半分はアンデルレヒト』とも語っています。恐らく彼も『リボロフレフ派』なのではないかと思われます。モナコのバスケットボールチームの理事も務めており、チームの公式YouTube動画にも登場しています。

確実に『公国派』と断言出来るのはその他の3分のうちの2人です。1人はリボロフレフ氏の前の会長であるエティエンヌ・フランジ氏。モナコ人以外では初の会長として生え抜きを中心とした若手を重用したジェローム・ド・ボンタン氏が成績不振という理由で公国政府に会長の座を追われ、代わりに着任したものの、ボンタン氏にリストラされたマルク・ケラー氏(現ストラスブール会長)をゼネラル・ディレクターとして復帰させ、ギー・ラコンブ監督を招聘。腹心の副会長には自分の家族の代理店を介してスポンサー契約が出るなど、とにかくチームを崩壊させた張本人と言える人物と言えます。ラコンブ監督の解任が遅れ、さらに後任人事においてもラコンブと同様に守備的な戦術を得意とするバニード監督を復帰させた事。降格した責任をケラー氏だけに押し付けて疑惑の副会長共々留任した事。最終的には最下位争いに沈んでいながら監督経験がほぼ皆無なマルコ・シモーネを招聘した事など、とにかく批判が多い人物なので、あまり口出し出来ないポジションに収まって居てくれるとありがたいです…

フランス人のJoël Bouzou氏は元近代五種の選手で、1987年の近代五種世界選手権王者、オリンピックでも84年のロス五輪の時に銅メダルを獲得しています。アルバートU世によって設立されたPeace and Sportという団体(www.peace-sport.org)の会長も務めています。彼とフランジ前会長が明らかに『公国派』と言える人物です。

もう1人、フランス人のJean-Pierre Gastaud氏という人物が理事に名を連ねているのですが、彼については情報が不足しており明言を避けたいのですが、どうやら弁護士もしくは博士号を持つ法律専門家の様です。ここからは憶測になりますが、ベルシェダ氏がリボロフレフ氏側の弁護士ならば、彼は公国側の弁護士なのかもしれません。ウィリー・デ・ブルイン氏をリボロフレフ派とし、彼を公国派とすると6対3となり、ちょうど株式比率と比例する事になります。

ヴァシリエフ副会長の下、ゼネラルディレクター補佐のオルベック氏、スポーティングディレクターのコルドン氏率いるスポーツ部門の各スタッフ、カウンセラーのDhondt氏らが名を連ねる財務・営業等の部門のオフィサー、彼らフロントの人物やジャルディム監督を筆頭とするコーチングスタッフにばかりついつい目が行ってしまいがちですが、チームの舵取りの最終的な意思決定を委ねられる理事にあえて目を向けてみました。

リボロフレフ氏の会長就任以来、リーグアン昇格直前の税制優遇規制問題、2014年から2015年にかけてのFFPへの対応問題など、とにかく困難にばかり直面しながらも、欧州のカップ戦への出場権を再び確保したこの3年で2度目のチャンピオンズリーグベスト8に導いた事は賞賛に値すると思います。問題をクリアしつつある今、近日中に結論が出そうなセルクル・ブルッヘの株式取得を皮切りに攻めに転じる時です。リボロフレフ会長とヴァシリエフ副会長以下、理事やフロントの手腕に期待しましょう。
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2017年03月03日

【コラム】冬の移籍市場雑感

状況確認と多忙につき、恒例のコラムが1ヶ月遅れになってしまい、申し訳ありません。

フランス勢が大きな動いた冬の移籍市場でしたが、モナコはリーグアンとCLでの好調な成績により、動きとしてはかなり静かなものとなりました。戦力的に言えば、補強も損失もほとんどありません。前半戦の戦力を引き続き保持出来た事が最大の補強と言えるかもしれません。

今シーズン終了後に残りの契約が1年となり、さらに現在(FFPの制裁後)のモナコのサラリー水準を上回っているファルカオとモウチーニョは放出の可能性がありましたが、最終的には2人とも残留しました。今シーズン終了後に契約満了を迎えるディアロとは契約延長に漕ぎ着け、レギュラー候補として獲得を希望していたリーグ下位クラブからの引き抜きを阻止しました。

この冬にあった動きは補強では未来に向けた投資、放出では出場機会が限られている選手の整理でした。前者では左ラテラルにジョルジを補強。左ラテラルはメンディが絶対的なレギュラーで、例え彼が離脱したとしても、右にトゥーレを入れてシディベを左に回したり、CBに穴が無い場合はラッジを起用する事で前半戦を乗り切って来ましたが、カリージョやジェメルソンの前例からも分かる通り、南米から直接モナコに加入した選手は本領発揮するまでに少なくとも半年以上を要している事から、カップ戦などを中心に出場機会を与えていきながら、メンディがモナコを去る日の為に徐々に準備を進めていこうとする意向が伺える補強と言えるのではないでしょうか。年齢的にもトゥーレ、ディアロ、エンドラム、ボスキージャと同じ96年生まれであり、彼らがチームの主軸となる時を見据えた先行投資の意味合いが強いと思います。

さらに、アヤックスの下部組織から17歳のベルギー人のフランコ・アントヌッチを獲得。こちらはより先行投資の意味合いが強く、同い年で同胞のBongiovanniと共にUEFAユースリーグなどのU-19チームでの活躍が期待されましたが、FIFAが移籍を許可しておらず、18歳を迎える来シーズンまでは公式戦への出場は叶わないかもしれません。

モナコからの公式発表はされず仕舞いでしたが、下部組織にはビジャレアルの下部組織から20歳のハビ・ガルシア、さらに19歳のカメルーン人のJessie Jensen Guera Djouという選手を加えています。前者はすでにリザーブチームでトップ下として出場機会を得ており、ここでの活躍次第ではトップチーム昇格もあり得そうです。ビジャレアルと言えばカンポスの後任として夏に着任したスポーティング・ディレクターのアントニオ・コルドンの前任地であり、彼の意向が伺える補強と言えます。

放出ではレンタル先で出場機会に恵まれていない選手の再配置がメインの動きでした。2月になって株の過半数取得オファーを出したベルギー2部のセルクル・ブルッヘにはレンヌとリオアヴェで出場機会に恵まれていなかったナルディとシェリフを転籍させ、さらに下部組織からベネディーヌもレンタルさせました。夏からレンタルされていたディアッラと併せて4名のレンタルとなり、株の過半数取得が完了すれば、来シーズン以降はさにセルクル・ブルッヘにレンタルとなる選手は多くなる事が予想されます。

守備的MFのバックアッパーだったアダマ・トラオレはリオアヴェへのレンタルとなりました。彼は長期離脱からコンディションが戻っておらず、試合勘を取り戻す意味合いが強いと思われます。レンタル先がリオアヴェとなった事には同クラブとの繋がりが深く、彼のモナコ加入にも関わっているであろうメンデスの影もちらつきます。前半戦のレンタル先のスタンダール・リエージュでは出場機会に恵まれなかったバールーリは完全移籍でリールに加わりました。これも彼の獲得を主導し、リールのスポーティング・ディレクターに就任したカンポスの意向が働いていると思われます。

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2017年02月01日

【随時更新】Mercato d'hiver 2017 (2017/01/01〜2017/01/31)

《注意》この記事は移籍市場が閉鎖する1月31日まで最上部に表示されます。最新の記事は下をご覧下さい。なお、移籍情報はTwitterアカウント(@ASMonaco_jp)でも更新していく予定です。

【獲得】
GK ポール・ナルディ (←レンヌ) レンタル早期満了
DF ジョルジ (←フラメンゴ) 4年半契約、移籍金850万ユーロ
DF ウワ・エウデルソン・エシエジレ (←スタンダール・リエージュ) レンタル早期満了
DF Ruben Vinagre (←アカデミカ・コインブラ) レンタル早期満了
MF ファレス・バールーリ (←スタンダール・リエージュ) レンタル早期満了
MF フランコ・アントヌッチ (←アヤックス) 2年半契約、移籍金250万ユーロ
FW タフシル・シェリフ (←リオアヴェ) レンタル早期満了
FW ラシナ・トラオレ (←CSKAモスクワ) レンタル早期満了

【放出】
GK ポール・ナルディ (→セルクル・ブルッヘ) レンタル
DF メフディ・ベネディーヌ (→セルクル・ブルッヘ) レンタル
DF  ウワ・エウデルソン・エシエジレ (→スポルティング・ヒホン) レンタル
MF アダマ・トラオレ (→リオアヴェ) レンタル
MF ファレス・バールーリ (→リール)
FW Quentin Ngakoutou (→ユニオン・サン=ジロワーズ) レンタル
FW コレンティン・ジャン (→トゥールーズ) レンタル
FW タフシル・シェリフ (→セルクル・ブルッヘ) レンタル
FW ラシナ・トラオレ (→スポルティング・ヒホン) レンタル
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2017年01月07日

【コラム】ムサ・マーズ、落日のモナコの中心人物。

年明け初戦のフランス杯はファルカオの先制点以降なかなかチャンスを決められずにいたら、PK(判定に疑問はある)を献上し、同点に追い付かれるも直後にジェルマンが再びリードを奪い、その後もスコアは動かずに2-1の辛勝という結果でした。この試合では相手のACアジャクシオに懐かしい人物がプレーしていました。それが77分から途中出場したムサ・マーズです。リーグドゥではACアジャクシオの主力としてこれまでにチーム最多タイとなる4ゴールを挙げているマーズ。この人物はかつて2度に渡ってモナコにレンタルでプレーしていました。

彼がモナコに加入する背景を説明する為、彼が加入する1年半前の2008年夏から話を進めていきましょう。CL準優勝後の2004年から会長を務めていたミシェル・パストール氏(故人)が成績不振によって副会長共々退任。クラブは史上初となる外国人のジェローム・ド・ボンタン氏(フランス人)を会長に迎えます。ボンタン氏はジャン=リュック・エットーリ氏などのクラブのレジェンドを含めたフロントのリストラを断行。さらにアルセーヌ・ベンゲルの助言でルフィエルやヌクルなどクラブの生え抜き選手を中心とした若手重用政策を断行します。

この政策は中長期的な観点からは成功を期待させるものでしたが、1シーズン終えただけの2009年の夏、当時の実質的なオーナーの公国政府は前年の順位を1つ上回っただけのリーグ11位という結果を不満としてボンタン氏は会長の座を追われ、エティエンヌ・フランジ氏が後任となり、再び会長はモナコ人に戻ります。

フランジ氏はボンタン氏がリストラしたマルク・ケラー氏(現ストラスブール会長)をゼネラル・ディレクターに復職させます。ケラー氏は自身が招聘したリカルド・ゴメス監督を退任させ、ギー・ラコンブを後任に据えます。それまでの4-4-2で2トップのポジションを担っていた朴主永やファン・パブロ・ピノは1.5列目からウイングの選手で、生え抜きの若手のニマニでは役不足と判断したケラー氏とラコンブ監督は、ラコンブ監督の得意とする4-3-3のフォーメーションで1トップを担えるCFの獲得が急務となります。

そこで白羽の矢が立ったのはヴァランシエンヌとカーンでの活躍からフランス代表にも呼ばれていたスティーヴ・サヴィダンでした。遅咲きとは言えフランスの強豪クラブも獲得を狙う注目株でしたが、カーンでモナコのレジェンドでもあるフランク・デュマスの指揮を受けていた事もあって獲得話はトントン拍子で進み、ドクターチェックを残すのみとなっていました。しかしながらそのドクターチェックで心臓に異常が見つかり、獲得の話は破断。サヴィダン自身も引退に追い込まれます。

これで白紙に戻ったCFの補強ですが、この2009年の夏はバルセロナを契約満了で退団し、フリーとなっていたエイドゥル・グジョンセンの獲得で済ませます。これが全く機能せず、朴主永を1トップに据えざるを得なくなってしまいました。レンタルから復帰したネネが左ウイングで得点を量産した為、前半戦はリーグ戦でも上位を伺う位置に付けますが、グジョンセンの失望によって冬の移籍市場では再びCFの補強が迫られます。そこでターゲットとなったのがムサ・マーズです。

ベルギーのロケレンで台頭し、CSKAモスクワに移籍したものの活躍出来ずに干されていたマーズのレンタルは本人にとっても両クラブにとっても理想的な移籍でした。しかしながらすぐにモナコで活躍する事は出来ず、朴主永をCFに据えなくてはならない状況は変わらず、また前半戦ではゴールを量産したネネの勢いも止まり、チームは深刻な決定力不足に悩まされます。シーズン終盤になってようやくマーズはリーグ戦3試合得点を挙げるなど本領を発揮し始めますが、それを成果として買取オプションの行使を求めるマーズの期待とは他所に、モナコのフロントはオプションを行使しない決断を下します。

2010年の夏、リーグ戦ではていめいしていたものの、直前のフランス杯決勝でモナコに勝利し、欧州のカップ戦の出場権を得たPSGとは対照的に、リーグ戦でもフランス杯でも欧州のカップ戦の出場権を逃したモナコは厳しい状況に立たされ、そのPSGに主力のネネを奪われます。さらにピノやペレスといった主力も流出。しかしながらそれで得た資金を使って悲願のCFの補強に動ける状況となります。その対象はムサ・マーズではなく、スタンダール・リエージュでヨヴァノビッチとのコンビで活躍していたデュメルシ・エムボカニ(現ハル・シティ)でした。失意のマーズはモスクワにも居場所は無く、ボルドーに再びレンタルとなります。

大金を投じたエムボカニですが、シーズン前半戦の中盤には早々に失格の烙印を押され、1トップは再び朴主永が定位置に。実はその前半戦で右ウイングを務めていたのが、今となっては世界的なCFとなっているオーバメヤン(ミランからレンタルで加入)だったという皮肉な話もあります。降格争いに巻き込まれたモナコは冬の移籍市場でエムボカニを放出。これが買取オプション付きのレンタルだった事もあり、補強の元手の無いモナコはボルドーで活躍出来ずに燻っていたムサ・マーズに再び焦点を当てます。しかしながらマーズはモナコに加入して僅か1試合でそのシーズンを棒に振る大怪我を負い戦線離脱。モナコは再び補強に動かざるを得ない状況となりますが、辛うじて補強出来たのはホンジュラス人のジョージ・ウェルカム(現アルセナル)というジョークの様な名前の選手のみ。当然、レギュラーの座を脅かす事も無く、得点源が引き続き1トップとして起用され続けた朴主永のみという状況は変わらず、チームは降格の憂き目に遭います。

ムサ・マーズはその後もCSKAモスクワとの契約が切れるまでレンタル生活が続き、2012年にはリボロフレフ氏の会長就任で復調するモナコを尻目に、落日のルマンでプレー。CSKAとの契約から解放されたその後はチュニジアのエトワール・サヘル、ポルトガルのヴィトリア・ギマランイスではモナコからのレンタルで在籍したクリス・マロンガと再会、同じくポルトガルのマリティモ、中国の長春亜泰、デンマークのラナースFCを経て、今シーズンからACアジャクシオでプレーしています。現在、チームは降格争いに巻き込まれていますが、モナコからのレンタルで在籍しているシャイビと共に、今回はチームを降格から救ってもらいたいところです。
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2016年12月22日

【コラム】冬の移籍市場の動きは?

23日でリボロフレフ氏の会長就任5周年を迎えるモナコ。1年半でリーグアン復帰。その後は昇格初年度にリーグ2位で翌シーズンのCL出場、そのCLでベスト8進出とステップアップ。FFPの影響で成長に歯止めが掛かりましたが、2年間の選手の売却で持ち直し、今シーズンはこれまでリーグ戦で2位、CLでも予選3回戦、プレーオフ、グループステージと不利なポッド分けでの抽選という難題を乗り越え、1試合を残してグループステージ突破を決めました。

一昨シーズンのチームではなく、CL準優勝を果たした2003-2004シーズンのチームとの比較される報道が目立つ現在のチームですが、2003-2004シーズンの夢の続きを見る為には、年明けから開かれる冬の移籍市場で何としても戦力を維持しなくてはなりません。ですが、ヴァシリエフ副会長はビッグクラブからの熱視線を受ける現在の主力選手達の動向について、この冬に放出の可能性がある事を否定してはいません。

・モナコのプロジェクトはバルサ、レアル、チェルシー、マンチェスターなどとは異なる。
・私達は常に最高の選手を維持する事は出来ない。
・私達は(現在)お金を必要とはしていないが、選手がバルサへの移籍を望んでいる場合、我々はチームに留めたいが、選手と(移籍について)話し合わなければならない。
・(主力選手を留める為に)全力を尽くします。この夏に我々が我々の選手を維持する為にマネジメントしたのがその証拠です。
・(もし放出したとしても)全ての可能性に対して準備をしている。

以上の方針をコメントしています。
この方針に関しては目新しいものではなく、ハメスの移籍当時からヴァシリエフ副会長が繰り返し話している内容です。つまりはビッグクラブからのオファーを受け、そのクラブが選手が望むクラブであり、そのオファーがモナコとしても納得せざるを得ないもの、損失を充分に補填出来るものであった場合には放出を容認するという事でしょう。

一方で、補強に関してはヴァシリエフ副会長は現場の要望を聞くとしていますが、今のところ特に目立った噂は出ていません。しかしながら昨夏の動きを考えると、もし補強に動くならばすでにターゲットを絞っていて、迅速に事が進むのではないかと思われます。選手層の薄いポジションに関しては補強を敢行してもらいたいところですし、それを出来るだけの予算はあると思われます。最近になって突如降って湧いたメンデス代理人絡みの追徴課税問題の行方(1170万ユーロ⁇)がそれをさせなくする可能性はありますが…

個人的には今回の移籍市場は静かな動きになるのではないかと、ある意味では楽観視しています。そうあってもらいたいですが、年明けから1ヶ月の動きはどうなるでしょうか?注目です。
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2016年11月28日

【コラム】後釜は若手の抜擢?

入院とそれで遅れてた仕事が忙しかったので、更新が滞ってました。申し訳ございません。

リーグ戦でもCLでも好位置をキープしているモナコではありますが、好成績を残せば同時に引き抜きへの不安が高まるのは自分だけではないはずです。特に86年以前に生まれたベテラン勢は2019年まで契約を残しているスバシッチを除き、今シーズン終了時点で契約を満了するから残り1年のみとなります。さらに昨夏に引き止めたベルナルド・シウバやファビーニョやルマールを筆頭に、若手にはビッグクラブからの監視の目が注がれています。

現在のFFPのルールからすると、売却すればそのシーズン中に再投資した方が賢明ではあるのですが、下部組織出身選手を中心とした若手選手達にもチャンスが生まれるかもしれません。今回のコラムは現主力選手の後釜になるかもしれない96年生まれ以降の若手選手14人にスポットを当ててみたいと思います。

GK ロイク・バディアシル 1998年生まれ
今シーズンはEUで出遅れたスバシッチに代わってプレシーズンマッチで出場機会を得て活躍すると、デ・サンクティスの怪我によりアウェーでのCL予選3回戦のフェネルバフチェ戦でいきなりの公式戦デビューも飾った期待の下部組織育ち。現在はリザーブチームとユースリーグに出場するU-19チームで経験を積んでいるが、すでにシよりかは高い評価を受けており、レンタル先で出場機会に恵まれていないナルディとスバシッチの後釜を争う立場に台頭しています。

DF アルマミー・トゥーレ 1996年生まれ
一昨シーズン、出色のデビューを飾りはしたものの、昨シーズンも今シーズンも怪我で成長が阻害されてはいるが、かつてクルザワも同じ様に2シーズン怪我で苦しんだ後にブレイクを果たした様に、彼もまずは怪我を完治させる事が先決と言える状況です。ポテンシャル的にはすでにレギュラーの座を奪取してもおかしくはないものを持っているだけに、今回紹介した中ではエムバペと並んで最もブレイクに近い存在と言えます。

DF アブドゥ・ディアロ 1996年生まれ
エスポワール代表にも選出されている期待のCB。一昨シーズンにトップチームデビューを飾ったが、主に守備的MFとしての起用で、本職のCBとしては危ういところをみせていたが、昨シーズンのズルテ・ワレヘムへのレンタルで成長。控え組中心での試合となった第2節のナント戦では無失点勝利に貢献しました。ただし契約は今シーズン終了時迄となっており、彼に出場機会が巡ってくる可能性のあるリーグ杯とフランス杯でのアピールが求められています。

DFBenoît Badiashile 2001年生まれ
最初に紹介したロイク・バディアシルの弟。後述のテュラムの息子と共にフランスU-16代表に選出されている次世代の期待の若手。現在はマヌエル・ドスサントス率いるU-17チームの一員としてプレーしていますが、3〜4年後にはその姿をトップチームで見る事が出来るかもしれません。

DF Ruben Vinagre 1999年生まれ
今年の夏にEURO U-17でポルトガル代表の一員として出場して制覇に貢献。さらなる飛躍の為にポルトガル2部のアカデミカ・コインブラにレンタルに出されたものの、18歳以下の選手の登録要件に抵触した様で、選手登録がされておらず、冬にモナコに復帰する事が有力視されています。半年の足踏みはあったものの、左ラテラルは選手層が厚いとは言えないので、モナコで再浮上を目指してもらいたいところです。

MF ケビン・エンドラム 1996年生まれ
本来はCBの選手ですが、今シーズンは複数の選手が抜けた守備的MFのバックアップとしてトップチームに定着。ディアロと共に控え組中心での試合となったナント戦で活躍した他、レンヌ戦では僅かな出場時間でアシストもマークしました。守備的MFの選手層が薄い今シーズンは絶好のアピールのチャンスなので、これから始まる国内のカップ戦などでは奮起が求められます。

MF ユースフ・アイト=ベンナスル 1996年生まれ
昨シーズンはナンシーのリーグアン昇格に貢献し、昨夏にナンシーからモナコに加入したものの、再度ナンシーにレンタルに出されている選手。モロッコ代表にも定着しており、W杯アフリカ3次予選初戦のガボン戦では先発フル出場も果たしています。移籍話が持ち上がった時にモナコでの競争を不安視していた彼に気を遣ったかの様に守備的MFは選手層が手薄なままなので、モナコの一員となった暁にはすぐにレギュラー争いに食い込む活躍が期待されます。

MF ジウ・ディアス 1996年生まれ
メンデスが送り込んだネクスト・ベルナルド・シウバ。モナコの下部組織でプレーした後、ポルトガル2部への半年間のレンタルでチームを大きく浮上させる活躍。今シーズンはレンタル先を1部のリオアヴェにステップアップさせ、調子の上がらないチームの中で奮闘。ELが予選敗退となり欧州のカップ戦を経験出来なかったのは残念ですが、トップリーグでも通用するところを証明しています。

MF ガブリエウ・ボスキージャ 1996年生まれ
サンパウロFC育ちで、2015年のU-20ワールドカップで活躍。同大会でゴールデンボールに輝いたアダマ・トラオレと共にモナコに加入しました。欧州への適応に時間を要したものの、昨シーズン後半戦のスタンダール・リエージュへのレンタルを転機に、今シーズンはここまで4ゴールを記録。うち2ゴールはFKによるもの(ナント戦とロリアン戦とマルセイユ戦)です。

MF Adrien Bongiovanni 1999年生まれ
Vinagreと同様に今年夏のEURO U-17に出場。ベルギーの主力として活躍し、今シーズンは飛び級でリザーブチームのトップ下もしくは右ウイングの位置を確保しています。さすがに苦戦はしていますが、ここで存在感を発揮出来る様になれば、昨シーズンのエムバペの様にトップチーム昇格もあり得ます。

FWキリアン・エムバペ 1998年生まれ
昨シーズンはトントン拍子でステップアップを重ねてトップチームへと昇格。チーム史上最年少ゴールに加え、1歳飛び級で出場したEURO U-19でもPSGのオーギュスタンと共に攻撃陣を牽引し、優勝に貢献しました。今シーズンはトップチームでも存在感を出し始めており、ここまで2ゴール3アシストをマークしています。現在は同世代のU-19代表に招集されていますが、このままモナコで活躍していれば、来年5月のU-20ワールドカップには再び1歳飛び級で招集される可能性は高いでしょう。

FW アラン・サン=マクシマン 1997年生まれ
ASSEの下部組織育ち。その引き抜きがフロントの内部対立に繋がり、ルイス・カンポスが配置換えとなる遠因に。さらにレンタル先のハノーファーでは存在感を発揮出来ずにチームも2部降格。散々な1年を過ごしましたが、今シーズンはレンタル先を国内のバスティアに変えたのが功を奏し、これまでのリーグ戦は全試合先発出場し、経験を積んでいます。U-20代表にも復帰し、来年5月のU-20ワールドカップのメンバー入りを目指しています。

FW イルバン・カルドナ 1997年生まれ
昨シーズンのガンバルデッラ杯制覇の立役者となったものの、EURO U-19では直前に代表から漏れて涙を飲みました。しかしながら大会後に行われた日本U-19代表との試合で初ゴールをマーク。さらに先日のオランダU-20代表との試合でも得点をマークし、どちらも控え組中心の編成の試合とは言え、U-20ワールドカップに向けたアピールに成功しています。現在はリザーブチームとU-19チームのUEFAユースリーグを主戦場としており、CFAでは8ゴール、ユースリーグでは第1戦と2戦で2ゴールずつをマークしています。

FWKhéphren Thuram Ulien 2001年生まれ
かのリリアン・テュラムの息子で、兄はソショーでプレーするフランスU-20代表のマルクス・テュラム。モナコの下部組織出身で現在はルアーヴルに所属するヨアン・テュラムは従兄弟に当たります。当初は昨シーズンNational(3部)降格の危機に瀕していた事から兄のマルクスの獲得を狙っていると報じられていましたが、リーグドゥ残留により頓挫し、弟がモナコに加入しました。バディアシルの弟と共にフランスU-16代表に選出されていますが、モナコのU-17チームではまだ同い年のバディアシル弟と比べても大きな実績は残せていません。まだまだユーベのケアンの様になるには時間が必要ですが、その血筋からすれば否応無しに期待を集めてしまうのは致し方ないでしょう。余談ではありますが、兄のマルクスの名前はジャマイカの国民的英雄マーカス・ガーベイに由来し、弟のKhéphren(キフレン??)はエジプト第4王朝のファラオ、カフラー王に由来するそうです。
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2016年09月06日

2016-2017シーズンの背番号。

1、スバシッチ
2、ファビーニョ
5、ジェメルソン
7、ディラル
8、モウチーニョ
9、ファルカオ
10、シウバ
11、カリージョ
14、バカヨコ
16、デ・サンクティス
18、ジェルマン
19、シディベ
20、トラオレ
23、メンディ
24、ラッジ
25、グリク
26、ボスキージャ
27、ルマール
28、ジャン
29、エムバペ
30、シ
31、アンズアナ (Andzouana)
33、カルドナ (Cardona)
34、ディアロ
36、ベネディーヌ (Beneddine)
38、トゥーレ
40、バディアシル (Badiashile)

【以下、CL用の背番号】
43、ラボー (Labeau)
44、ムユンバ (Muyumba)
45、ヌグインダ (Nguinda)
46、ティラール (Tirard)
47、トルマン (Tormin)

LFPでは41番以降の背番号は認められていない為、41番以降の選手がベンチ入りする際には40番までの番号を登録し直す必要があります。
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2016年09月05日

【コラム】移籍市場雑感

8月31日をもって移籍市場が閉鎖しました。

移籍金支出がグリク(800万ユーロ)、シディベ(1600万ユーロ)、メンディ(1500万ユーロ)、ベンナスル(300万ユーロ)で推定総額4200万ユーロ。移籍金収入がカヴァレイロ(1200万ユーロ)、ティッセラン(500〜550万ユーロ)、ピ(70万ユーロ)で、さらに移籍金収入の方にはラブとバアンブラの移籍に若干の金銭が発生している可能性があるので、推定総額1800万ユーロとしておきましょう。どちらにしろ、夏の移籍市場においてはファルカオやハメスらを獲得した2013年以来、3年振りの買いが2400万ユーロ程は先行した移籍市場となりました。

要因としては、2013-2014シーズンの大量買いが今シーズン終了後のFFPの審査からは適応外となる事、さらにこの前2シーズンの大きな売却益を生かした事が挙げられます。さらにCLのグループステージに進出した事もバランスシートの均等化に繋がっていると言えるでしょう。

昨シーズン中に勃発したメンデス派閥と非メンデス派閥の対立により、移籍市場において大きな役割を果たすはずであったマケレレとカンポスが相次いでチームを離れました。そんな中でしたが比較的早い段階で補強を終え、主に守備陣を整備しました。これは昨シーズン中のスカウトの成果なのではないでしょうか。カンポスが離れた事に加え、カルヴァーリョとも契約延長せず、コエントランやエルデル・コスタやウォレスのレンタルバックとカヴァレイロやエシエジレらの移籍により、メンデスの影響力は大きく薄まっています。補強からもファルカオのレンタルバック以外にメンデスの影響は感じさせません。しかしながら戦力となっているメンデス派(モウチーニョ、シウバ、ファビーニョなど)の離脱までに発展しなかったのは大きな収穫と言えます。

マケレレやカンポスの後任として、長らくビジャレアルのスポーツディレクターを務めて来たアントニオ・コルドン氏を招聘しましたが、招聘時点で補強はすでに完了しており、彼の手腕が発揮されるのは冬以降となりそうです。CLプレーオフでは彼の古巣との対戦となった為、対戦相手のスカウティングの面では早くもプラスをもたらしたとも言えます。

この夏の移籍市場を主導したのはヴァシリエフ副会長はもちろん、実質的にはゼネラルディレクター補佐のニコラ・オルベック氏やテクニカルディレクター補佐のアンドレア・ブッティ氏といったメンバーでしょう。前者はナルディに続き2人目となる、1シーズンのレンタルバックを付帯しての古巣からの移籍となるベンナスルの獲得に尽力した事は間違いないですし、イタリア人で長くインテルのフロントのメンバーだった後者はイタリアからの補強となったデ・サンクティスやグリクの獲得に携わったのではないでしょうか。

一方、トゥラランとナルディがチームを離れた事で、シディベとメンディは国内からの補強となりました。これにはCLの選手登録規定の1つである協会域内育成選手(最低4人)の要件を満たす意味もあったのかと思われます。実際問題、コレンティン・ジャンのレンタルが実現していれば、最低4人(他の2人はバカヨコとルマール)ぎりぎりとなるところでした。

戦力面に目を向けると、昨シーズンの懸念だったCBにEUROでの活躍が記憶に新しいグリク、両ラテラルに国内での実績があるシディベとメンディを獲得。昨冬の補強であるジェメルソンもコパに呼ばれなかった事で1年半振りの長期オフを取れてリフレッシュ出来たはずで、総額5000万ユーロ近い金額を費やした最終ラインは早々の結果を求められる事になるでしょう。一方でもう1つの懸念だったCFにはニースで実績を残して来たジェルマンと、2シーズンのプレミアへのレンタルから帰還したファルカオのレンタルバック組がFW陣の決定力不足解消の役割を担います。両者は2013-2014シーズンの時には開幕前のジェルマンの怪我とリヴィエールの台頭、そしてその後のファルカオの怪我によって実戦でコンビを組んでおらず、ほとんど初顔合わせと言っても過言ではありませんが、個人的には2013-2014シーズンにも見てみたかったコンビなので、成熟してくればゴールを量産してくれると信じています。

中盤からはトゥラランが抜けましたが、すでにバカヨコが昨シーズンを上回るパフォーマンスを見せているので、本格的なコンバートとなりそうなファビーニョと共に安定した活躍が期待出来そうです。EURO制覇で出遅れたモウチーニョや長期離脱明けのアダマ・トラオレも徐々にパフォーマンスを上げてくれれば、レギュラー争いに加わる事も期待出来るでしょう。ただし、バカヨコとファビーニョ、モウチーニョとトラオレではタイプが異なるので、特にがっちり守らなくてはならないCLやリーグ上位チームとの対戦の様な局面では、選手層に不安が残っているのも事実ではあります。エンドラムや一昨シーズンは守備的MFで起用される事が多かったディアロらの成長も求められるでしょう。

戦力面でもう1つ特筆すべきは、レンタルでの獲得が無かったという点。レンタルで戦力を取り繕う事を常套手段としていたモナコにとってこれはとても珍しい事で、なんと2007年夏以来の出来事。このシーズンも冬の移籍市場では2人(ファビオ・サントスとイグナシオ・ゴンザレス)をレンタルで加えており、もし冬にもレンタルで獲得しなければ、その前のシーズンの2006-2007シーズン以来の出来事になります。その時と今では移籍金の相場が桁違いに上がって(例えば2006-2007シーズンには頭角を現していたメネズやヤヤ・トゥーレを400万ユーロ前後程度で獲得している)おり、そのリスクを考えれば、かなり強い自信を持って補強に投資した事が伺えます。

もちろんそれには、ジャルディムがデシャン以来となる指揮官として3シーズン目に突入し、戦力の把握が済んでいる事も一因となっているでしょう。冒険よりも結果をより重視したシーズンとなるのではないでしょうか。トップチームの戦力を25人に絞っている事も、もちろんサラリー総額を抑える意味合いもありますが、戦力の把握が済んでいる事も大きく影響しているでしょう。長く遠ざかっているタイトルや一昨シーズンのCLベスト8がまぐれではないところを見せなくてはなりません。この件についてジャルディムはCLベスト8がフランス杯やリーグ杯、あるいは(オリンピアコスを率いていた時の)ギリシャリーグのタイトルより重要だと語っていますが…

最後に、今シーズンも12人の選手達がレンタルに旅立ちました。その内の戦力外として換金目的(出来れば)のエシエジレとラシナ・トラオレを除く10名はレンタル先での成長を期待されてのレンタルです。しかしながら来シーズン以降にモナコの戦力に加わる為には、レンタル先での活躍のハードルが高い事はピとティッセランの放出で暗に示した形となりました。逆にハードルを越えた例はジャルディムが評価を改めざるを得なくなったジェルマンです。これはかなり高いハードルと言わざるを得ないでしょう。育成軽視とも取られかねないピやティッセランの処遇は下部組織内の不安を招く可能性もあり、フロントにはそのあたりは再考してもらいたいところです。
posted by もなこ at 11:14| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月01日

【随時更新】Intersaison 2016(2016/06/09〜2016/08/31)

《注意》この記事は移籍市場が閉鎖する8月31日まで最上部に表示されます。最新の記事は下をご覧下さい。なお、移籍情報はTwitterアカウント(@ASMonaco_jp)でも更新していく予定です。

【獲得】
GK モルガン・デ・サンクティス (←ASローマ) 1年契約、移籍金無し
DF マルセル・ティッセラン (←トゥールーズ) レンタル満了
DF ベンジャミン・メンディ (←マルセイユ) 5年契約、移籍金1200万ユーロ
DF カミル・グリク (←トリノ) 4年契約、移籍金1100万ユーロ
DF ジブリル・シディベ (←リール) 5年契約、移籍金1600万ユーロ
MF ユースフ・ベンナスル (←ナンシー) 5年契約、移籍金300万ユーロ
MF アブドゥ・ディアロ (←ズルテ・ワレヘム) レンタル満了
MF ジェシー・ピ (←トロワ) レンタル満了
MF Dylan Bahamboula (←パリFC) レンタル満了
MF ロニー・ロペス (←リール) レンタル満了
MF ガブリエル・ボスキージャ (←スタンダール・リエージュ) レンタル満了
MF Gil Dias (←バルジン) レンタル満了
MF Christopher Lina (←CAバスティア) レンタル満了
MF アラン・サン=マクシマン (←ハノーファー) レンタル早期満了
FW ラダメル・ファルカオ (←チェルシー) レンタル満了
FW タフシル・シェリフ (←バルジン) レンタル満了
FW コレンティン・ジャン (←トロワ) レンタル満了
FW Quentin Ngakoutou (←エヴィアン) レンタル満了
FW エドガー・サリ (←ザンクトガレン) レンタル満了
FW ヴァレール・ジェルマン (←ニース) レンタル満了

【放出】
GK ポール・ナルディ (→レンヌ) レンタル
DF ウォレス (→スポルティング・ブラガ) レンタル満了
DF ファビオ・コエントラン (→レアル・マドリード) レンタル満了
DF リカルド・カルヴァーリョ (→引退?) 契約満了
DF ウワ・エウデルソン・エシエジレ (→スタンダール・リエージュ) 買取OP付レンタル
DF マルセル・ティッセラン (→インゴルシュタット) 移籍金500万ユーロ
DF ラファエル・ディアッラ (→サークル・ブルッヘ) レンタル
DF Ruben Vinagre (→アカデミカ・コインブラ) レンタル
MF ジェシー・ピ (→トゥールーズ) 移籍金70万ユーロ
MF ジェレミー・トゥララン (→ボルドー) 契約解除
MF マリオ・パシャリッチ (→チェルシー) レンタル満了
MF デルヴィン・エンディンガ (→ロコモティフ・モスクワ)
MF エルデル・コスタ (→ベンフィカ) レンタル満了
MF ロニー・ロペス (→リール) レンタル
MF ユースフ・ベンナスル (→ナンシー) レンタル
MF Gil Dias (→リオアヴェ) レンタル
MF Dylan Bahamboula (→ディジョン) 契約解除
MF アラン・サン=マクシマン (→バスティア) レンタル
MF ジョナタン・メキシク (→レッドスター) レンタル
MF ファレス・バールーリ (→スタンダール・リエージュ) レンタル
FW ラシナ・トラオレ (→CSKAモスクワ) レンタル
FW エドガー・サリ (→ニュルンベルク) 契約解除
FW イリエ・シャイビ (→ACアジャクシオ) レンタル
FW Fawzi Ouaamar (→アル・ホセイマ) 契約解除
FW ヴァグネル・ラブ (→アランヤスポル)
FW イヴァン・カヴァレイロ (→ウォルバーハンプトン) 移籍金1200万ユーロ
FW タフシル・シェリフ (→リオアヴェ) レンタル
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